臨床心理士のうたたね日記

臨床心理士です。日々気ままに気がついたこと、関心のあることについて書いています。

大人の発達障害

発達障害の原因はまだすべてがあきらかになっているわけではありませんが、脳機能の発達のアンバランスさに原因があるとされています。本人の努力不足のせいでも、親の育て方のせいでもありません。得意なことと苦手なことの差が大きく、そのために未診断のまま社会に出た人たちにとっては、様々な困難が立ちはだかるのです。(おそらく、子供の発達障害の認知は進んできたので、だんだん、未診断の人は減少してくるのではないかと期待していますが。)

ある研究によれば、ひきこもりの人たちの3割が発達障害にあたるのではないかとされています。

大人の発達障害も子供の時と似ていますが、特徴あげてみますと、

苦手なことは
コミュニケーションが苦手、冗談を言えない、わからない。一方的に話してしまう。
特定の物事、考え、価値観にこだわりがある。
聴覚、視覚、触覚など感覚の過敏性がある。
仕事のミスが多い。
片付けができない。
仕事を先延ばしにする。
仕事の段取りができない。など

ストレスや怒り、不安、自責、他責などマイナスの感情で頭が支配されやすいです。そのため、過去のトラウマもひきずりやすい傾向があります。ただ、その感情へのこだわりという特性もあるのでそのことを自覚してもらって、本人の頭を支配しているものを見つめなおすと軽減される場合も多い印象をもっています。

マイナスの感情に支配されていると具体的にすべきことができにくくなります。

得意なことは、
ASD(自閉症スペクトラム)では、自分の関心あることでは、調べることに高い能力と集中力をもつ
ADHD(注意欠陥多動性障害)の中にはエネルギーや行動力があって、気後れせず、誰とも話せる
(近頃坂本竜馬がそうであったのではないかと言われている本も見かけます)

言われたことを忘れないように一生懸命メモにとりますが、肝心な時にメモを見るのをわすれてしまいます。

この人たちができないことは、なまけてのためではありません。反対にこの人たちは損得をあまり考えず、悪意のない人たちが多いのです。正義感の強い人もよくいます。

この人たちは自分はこう感じる、こう考える、で生きていて、自分を客観的に見たり、他者と比較して自分の差にきづきにくいという特徴もあります。そのため、自ら治療機関に行くときは、多くの苦しみを経験して、うつ病や適応障害になってしまっていることが多いです。

しかし最近では社会に大人の発達障害についても知られ始めてきて、「自分の生き方が大変なのは発達障害のためではないか]と疑われて来談される方も増えてきています。

社会が認知していくことは、やはりとても重要なことだと思います。

追伸;
名画「カサブランカ」の中で酒場の女にくどかれる場面で、ハンフリーボガートがさらりと格好よくかわすセリフ。
酒場の女「昨夜はどこにいたの」
ボガート「そんな昔のことは忘れたさ」
酒場の女「今夜は一緒にいてくださるんでしょ」
ボガート「そんな先のことはわからないよ」
みたいに
上司に「昨日の仕事どうした?」部下「そんな昔のことは忘れたさ」
上司「今夜のアポイント覚えているか?」部下「そんな先のことはわからないよ」
と密かに私だったら言ってみたいと企むのですが、現実の職場で忘れたら大変なことになりますね。

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