臨床心理士のうたたね日記

臨床心理士です。日々気ままに気がついたこと、関心のあることについて書いています。

言葉にならない思いや身体の痛み

描画表出療法では、言葉にならない思いや身体の症状も扱うことができます。

まずは、共感の姿勢を作ることです。私は自動的にに相談者さんと会うとチュー二ング(波長合わせ)しますが、最初は相手の呼吸に合わせるのがいいでしょう。

そして「漠然ととしていてかまわないから心や体で感じてることを表現してください」伝えます。「詳しい説明はしなくていいですよ」ということも伝えます。


相談者さんはこんな風に言います。

例えば、

なんか胸のこの辺がもやもやして
のどがつっかえて
ぼーっとする感じ
この指がしびれて
ここがひっかる感じ
背中のこのあたりが痛い
風邪でのどが痛い

すごく漠然としていても全く大丈夫です。

そして相談者さん自らクレヨンから自分の身体に感じるものに合う色を選んで殴り書きしてもらいます。初めての人でどう書いたらいいのかわからない場合は、殴り書きを描いてみせます。もしクレヨンの色に迷う人がいたら最初は黒色をセレクトするといいかもと伝えます。

そして殴り書きを通して身体に感じたものを新聞紙の上という外の世界に表出していきます。

ただの殴り書きなのですが、こちらが相談者さんにチューニングしているので、トラウマは胸が「痛いな」、怒りは「胃が痛いな」というかすかな兆しでこちらにも身体反応を通して伝わってきます。

そして、この新聞紙の上に表出されたものを相談者さんと二人でどうしたらよりすっきりするか考えていきます。描くだけで大丈夫になる人もいます。カウンセラー側は、好きな色でこの上から塗る方法やお薬と言ってほかの色のクレヨンを塗る方法や水を想像させる水色みたいなクレヨンで一定方向に流す方法や描いたものをちぎる方法などあることを伝えます。そうすると、相談者さんは自分にぴったり合う方法や色を選ぶことができます。その中で治療者側がサポートする必要があることは行うという感じで進んでいきます。

怒りが関わっている場合は、描いた新聞紙を破るとか、切るとかいう作業が必要になってきますが
切る作業も人によって手でちぎるのがいい人、はさみで切るのがいい人など異なるのでそれも道具を用意して任せます。
ただ、ひとつ相談者さんがやけっぱちになっていて、描かれたものにその人が吐き出したものがあるだけでなく、
その人の心の傷も描かれている場合もあると感じられたときは破りたいと言ってもストップします。「あなたの大事なものが描かれているからとっておこうね。」と伝えるとたいてい相談者さんはほっとする感じです。
ただ、私のあり方が違ってきたのか、どういうわけか描いたものを切ったりということはこのところとても少なくなってきました。


どちらかというと殴り書きで描いた後はこちらがお薬として選んでもらった色で塗ることが多いです。
あと、色を塗って水で流すように一定方向に線を流す作業もよく行います。

書き始めの色についても、お薬として塗る色にに関しても、相談者さんはものすごく厳密です。
合わないなと思ったら、「違うな~」と違う色を選んでいきます。
それから、こちらが塗る部分にも厳密です。殴り書きの線を流す方向にも厳密です。自分にぴったり合ったものを模索します。
だから、遠慮なく言えるように「塗ってほしいところがあったら言ってね。」「流す方向はこちらでいい?」と確認しながらやっていきます。
相談者さんもわからないときは実験ねとやって見せると相談者さん自身にに合うか合わないかはっきりしてきます。

それが20分から30分で終了します。同じ場面を思い浮かべても「大丈夫です。なんにもないです。苦しくないです。痛くないです」となります。
フォローは3か月から1年後ぐらいまで見ていたケースが多いですが、同じ症状でぶり返すことはほとんどありません。

風邪はまたひくことがありますが、非常に治りが早くなります。

私が作りだした描画表出療法もケースを重ねるごとにいろいろな発見があります。色ひとつ選ぶこと、どちらの方向に描線を流すかなどで人の心の微妙さ、繊細さが伝わってくるので人の心って深いなといつも思います。

以上私の描画表出療法について、きちんと言語化されないものにどう向き合うか、身体の痛み、しびれにどう向き合うかまとめてみました。



参考
ブリーフサイコセラピー学会発表 第19回日本ブリーフサイコセラピー学会,東京,2009.8
心理臨床学会発表 日本心理臨床学会大会,東京,2008

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夏祭りも終わり、8月も終わり...井上陽水の少年時代を大原櫻子と高畑充希が歌います。


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