臨床心理士のうたたね日記

臨床心理士です。日々気ままに気がついたこと、関心のあることについて書いています。

B君が生きるということ

この記事は、私の臨床歴20年あまりの中で、パターン化してみられたこと、あるいは、皆さんに伝えたいことをケース報告様に書いています。B君という人間は、実際には存在しません。でも、部分部分は、男性、女性ということにこだわらなければ、あなたの周りにいるかもしれない存在だと思います。いつものように内容が相談者のケースに似ている場合は相談者の了解と応援をえています。

B 君とは、とある公的機関の相談所で出会った。その時ほとんど、彼は語るができなかった。彼が訴えたいことがなにかわからなかったが、彼が苦しんでいることだけは私に伝わってきた。「話せるようになったらまた来てくださいね」と伝え、私の名前入りの名刺をわたした。そこに書かれている名前から彼は私の相談室にメールをしてきた。
あとで、わかったのであるが、その頃はセクハラに合って彼は恐怖の中にいた。彼はアラサーであるが、職場でアラフォーの女性に付きまとわれていて職場を辞めざるをえなかったのである。

一般の方は、男が女性に付きまとわれたぐらいで怖がるなどとは情けない。あるいは、女性に追いかけ回されるなんてなんて幸せな奴だと羨ましいと思われるかもしれない。男女雇用均等法の周知とともに女性のセクハラに関しては、一般の人の理解も得られるようになった。男性に対するセクハラについても2007年に決まり、男女雇用均等室に訴えることができるようになったのをご存じの方は少ないと思う。

(政府などの対応としては、男女雇用機会均等法の1997年改正で性的嫌がらせへの配慮を盛り込み、2007年の改正で範囲を拡大、男性への性的嫌がらせも配慮の対象としている。
2007年4月1日施行の改正男女雇用機会均等法により、「男性・女性から男性」へのセクハラが禁止対象になったほか、雇用管理上必要な「措置」をとるよう事業主に義務付けられた。従来の「配慮義務」より厳しくなり、是正指導に応じない場合は企業名が公表される。従って、女性従業員が男性従業員に聞こえるように、他の男性を含めた男性の噂話をするのは、環境型セクハラとして違法行為となる。女子トイレなど男性がいない場所でも、職場において男性の話をするのは好ましくない。
しかし、対象になってからまだ日が浅いこともあり、対策を講じている企業は少なく、男性が部下や同僚の男性に猥談を強要したり、風俗店に無理やり誘う習慣は業界によっては未だ残っており、女性従業員の噂話なども殆ど放置されてしまっているのが実情である。日本社会はジェンダー差別が根強いため、男性はセクハラ被害を訴え出ることを恥ずかしいと感じたり、相談しにくい状況があり、内在化しやすい[8]。またセクハラ被害を訴えると「男らしくない」とセクシュアリティを侮辱されるなど、二次被害や二重の性差別に遭う事をもある。)Wikipedia参照

男性の女性からのセクハラに悩む人も多いはずである。それが男だからということで言うことができずに一人悩んでいる人は多いのではないかと思う。雇用均等室に行くことができなくても相談機関に話しに行ってほしい。産業分野に詳しい臨床心理士のいるところや産業カウンセラーがよいのではないかと思う。労働基準監督署もよいかもしれない。厚生労働省のこころの耳にメールや電話相談してみるのも名前を明かす必要がないのでハードルが少し低いのではないかと思う。

B君の方は、その女性ができるだけ接触できないところに身をおき、新しい就職先を見つけることができた。ハラスメントにあった多くの人は、事件のあった現場には、戻れないのがほとんどである。職場に戻ると精神的に具合が悪くなりやすいため、職場を辞めざるをえない。そのため、経済的にも大変になることが多い。そして、次の職場でもそういう目に遭うのではないかと就活になかなか踏み切れないことも多い。

しかし、B 君の生きることでの困難はこんなものだけではなかった。(続く)

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